社会人一年目、二十三歳

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あの頃の俺は、ことある事に先輩や上司にお決まりの「学生気分が抜けてねぇなぁ」を食らいつつ、新しい環境に適応しようと必死だった。

とは言え、今思うとそんなに大層な努力をしていた訳ではない。まともな社会人になろうとしていただけだ。

朝早く起きる、眠くてもサボらない、ダルくてもサボらない、遅刻しない、働く、夜更かしせず寝る。

「働く」の中身、仕事のデキはまだ問わない。とりあえず一生懸命やればそれでいい。

こんな当たり前の事で必死になる程度には、大学生活で壊れた社会性を修復するのは難しかった。

まともな社会生活は思ってた以上にしんどかった。

唯一の癒し

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学生時代のように友達とも気軽に会えない、遊べない。と言うか仕事でヘトヘトになって退社後に何かを楽しむような体力も残ってない。

いつしか自然と部屋でひとりで飲むようになった。元々酒は好きだったが、仕事終わりの酒は格別だった。

本当なら友達や彼女と飲めれば楽しいんだろうけど、先輩や上司に気を遣いつつ仕事論やら小言を聞かされながら飲む酒よりは断然楽しい。

仕事で疲弊→全てが面倒臭い→ひとりで酒を飲む→楽しい気分になる→そのまま寝る

こうして俺は毎日ひとりで酒を飲むようになった。

増えていく飲酒量

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酒に溺れた経験がある人なら分かると思うが、だんだん満足に至るまでの量が増えていく。ほろ酔いじゃ満足できない。

決して酒に強くなった訳ではないが、自分の限界まで飲むようになる。完全に泥酔して記憶が吹っ飛ぶまで飲む。

それが毎日。

過食嘔吐

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よく「本当の酒飲みはツマミなしで酒を楽しめる」と言うが、その定義に沿えば俺は本当の酒飲みとやらでは無いのだろう。

酒を飲みつつツマミとして色々食う。毎日泥酔するまで飲むのだから当然ツマミの量も増える。

夕食を食いながら飲んで、更にツマミを食いながら限界まで飲む。そして吐く。完全に人間ポンプ。

嘔吐のせいで胃袋が空っぽになるもんだから、ロクに運動していないのに日に日に体重が落ちていった。

酒やツマミを金払って買ってるのが馬鹿みたいだ。我ながら頭がおかしかった。

嘔吐ダイエットとかされても困るから一応書いておくが、明らかに体調不良の日が多くなったし、風邪や発熱も多くなった。命の危険もあるので絶対に真似しないでください。

アル中寸前

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自分でも分かってた。自分がアルコールに依存している事を。仕事中に酒を飲みたくなるとか手が震えるとか、そこまでの症状は出なかったがそれも時間の問題だと。

アル中寸前、酒の池で溺れている状態だ。

このまま行けば自力で社会生活を営めなくなってしまう。

って言うか、毎日暴飲暴食嘔吐で身体にも悪いし財布にも悪い。既に酒に溺れて沈み始めている。

酒でやらかして目が覚める

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そんなある日、職場の飲み会、と言うか接待の席でついにやらかした。

普段顔を合わせないお偉いさんもいた席で何故か俺はいつもひとりで飲む時のように限度いっぱいまで行ってしまい、気が付いたら見知らぬ駅で終電を迎えていた。

微かに記憶がある。偉いおじさまや周りの人間が俺を必死に止め、上司はブチギレしている。

次の日出社したら、他の社員からぶっ飛んだ記憶を次々と補完された。会社辞めようかと思う程度にはヤバい事になっていた。

アルコール依存とは少し種類が違うトラブルだが、酒との付き合い方を見つめ直そうと思うには十分な一件だった。

依存の本質

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俺は本当の本当に酒が好きな訳では無い。

そんなに高い酒を色々知ってる訳ではないけど、まぁ値段の高い酒を飲んでも良さが分からないし、そこら辺のジュースのほうが美味いと思う。

泥酔する度に体調は悪くなるし、それが日常になって体調が悪い状態が普通だった。これが病気でなくてなんだと言うのだろうか。いつも朝が来るたび後悔していた。


そう、俺にとっての酒はひとりで手軽に現実逃避して楽しい気分になる為のツールに過ぎなかった。

恐らくこれは、異性やらギャンブルやら薬物やら、世の中のありとあらゆる依存に通ずるものだと思う。

心の底から楽しめる何か

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月並みだが、これをやる事であっさり酒を控える事ができた。

別に大層な事ではない。漫画とか映画とか散歩(街歩き)とかネットサーフィンとか電話とかその程度。

疲労してるから・・・と酒に逃げていたが、そのせいで上に挙げたような手軽なものすらロクに楽しめてなかった。

今はもう自分ひとりで酒を飲もうとは思わない。アルコールが入るとありとあらゆる事に支障が出るから。

頭は回らなくなる、身体も動かなくなる、過食気味になる、嘔吐する、体調不良になる、金かかる。

大事な何かを本当に失ってしまう前に気付けて、本当に良かった。

殆どの人には笑われたりドン引かれてしまう話だろうけど、もしこの記事を読んでいる人の中に過去の俺と似たような状況の人が一人でもいたら、酒の海から這い上がるキッカケになって欲しい。

皆で楽しく飲む分には構わない。本当に酒が美味しくて好きで、飲んでも何も困ってないなら構わない。酒を思う存分楽しめばいい。

ただ、孤独や現実から逃げる手段としては最悪だ。孤独は深まるし現実もより厳しくなる。