タカシに食らった絶交宣言

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幼少期の出来事だが、未だに忘れることができない。 

同じマンションで親同士も仲良しだった地元の幼馴染、タカシとの思い出だ。

あの頃の男子は何かとアニメや漫画のキャラのモノマネをして戦っていたし、しょーもない喧嘩もしょっちゅうだったのだが、タカシはそんな喧嘩とは無縁の気弱なタイプ。

自己主張をあまりせず、NOと言わない争わない奴だった。

色んな意味で俺とは真逆の性格だったが、共に過ごした時間の長さもあって仲良しだった。

そんなタカシに、小学校にあがって最初の夏休み前に絶交宣言を食らった。

絶交宣言の直前

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あの日の帰り道、タカシに打ち明け話をされた。

毎日のように皆の前で悪口を言ったり、関節技をかけてくる「カズオ」が嫌いだそうだ。 

話しを詳しく聞くと、とにかく色んなやり方でタカシを泣かすのを楽しんでいる。悪魔のような奴だ。

正直驚いた。俺は隣のクラスだったからよく知らず、タカシとカズオがそれなりに仲良しに見えていた。

俺は「あんな奴ブッ飛ばしちまえ」と、けしかけた。 

カズオはクラスの大将格ではあったが、そんなに強そうには見えなかったからだ。タカシでも勝てるんじゃないかと思った。

が、答えはNO。それどころか「俺がカズオを嫌いって事、絶対誰にも言わないで」と頼んできた。

なんだそりゃ!それじゃ何も解決しないじゃないか!

カズオをブッ飛ばしたら絶交宣言

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と、その時、カズオを前方に発見した。 
今思うと最悪のタイミングだが、ここぞとばかりに俺はカズオに駆け寄る。 

タカシの制止なんかお構い無しで「おいお前タカシの事イジメんなよ」「は?関係無いだろ」みたいなやり取りの後、やや不意打ち気味にアチョー!ポコポコ!

互いのランドセルをガチャつかせた勝負は一瞬で決した。 

カズオは泣きながら、俺の悪口を叫びつつ逃げ帰っていく。 

俺も負けじとカズオの背中に悪口を浴びせる。

興奮冷めやらぬ中、ふとタカシを見たらメッチャ泣いていた。 

そして・・・

「言うなって言っただろぉ・・・」
「もう絶交する・・・」

正義のヒーロー気分に浸っていた俺はショックを受けた。

あのタカシが「絶交」だなんて・・・

いくら理由を聞いてもタカシはガン無視。 

だんだん腹が立ってきて、別れ際に俺も「じゃあもういいよ絶交だ!」と叫んだ。

タカシくんは、お前に話を聞いて欲しかっただけなんだよ

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納得行かず、悲しみと怒りに震えながら夕食の席で家族にぶちまけた。 

多分、泣いてたと思う。

その時、母親に言われたのが「どんな理由でも暴力はダメ」ってのと「お前に話を聞いて欲しかっただけ」って事。

前者はともかく、後者は意味が分からなかった。 

「ただ話して、それが何になるんだよ!?」と・・・

当然、今は痛いほど理解できる。 

人は、聞いてもらうだけでだいぶ救われる。タカシは俺だからこそ、話したかった。

それに、俺が一番よく分かってた事じゃないか。 

タカシは人と争う事を望まない人種だって・・・

嘘をつかなきゃいけない時もある

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だが、当時の俺は納得できるはずもなかった。 母親に随分と噛み付いた。 

怒り狂い、正義を貫いて何が悪い、タカシもタカシで嫌な相手にはハッキリ嫌と言えばいい、とか吠えてる所に珍しく父親が割って入る。

「戦えない相手って居るんだよ」
「嘘をつかなきゃいけない時もある」

ハァ!?何言ってんだ!?

・・・・ホント、そうだよね。

その後

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タカシの親から電話がかかってきて、俺に感謝と謝罪の言葉をくれた。

お互い、親に言わされてた感はあったが一応謝って仲直りした。

だが、背が伸びるにつれて俺とタカシが遊ぶ回数は減っていった。

カズオの件を引きずっていた訳でもなければ、嫌いになった訳でもない。

別々のモノに夢中になり、つるむ仲間が変わり、お互い別々の道を歩むようになったからだ。

最後に2人で遊んだのはいつだろう?小学校6年生くらいかな?

だけど、超ご近所だから地元ではよく出会う。その度に、短時間だが変わらぬノリで話をする。爽やかに「じゃあな」で別れる。

友達と言えるかどうかも曖昧な関係だが、それでいい。

今でもタカシの事を好きかと聞かれれば、ハッキリ「好き」と言える。

白黒つけなくていい

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男には結構ありがちな事だが、何かと白黒つけたがってしまう。

愚痴や悩みや相談を解決しようとしてしまう。アホだと思う話は否定や論破をしたがってしまう。

だけど、それをする必要ってあんまり無いんだよね。

タカシは俺に「カズオをやっつけてくれ」と依頼した訳ではない。

それに、俺の力で無理矢理カズオをやり込めた所で、タカシの抱える問題の根本的な解決にはならなかっただろう。悩みや問題をすぐに解決できる事のほうが稀。時間がかかる事が多い。

いつだってそうだ。自分の人生に白黒つけるのは自分の役目。

他人の人生には踏み込まない、自分の人生にも踏み込ませない。

人に優しくする方法は、他にもたくさんある。




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