始まりは、よくある束縛 

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恥ずかしながら俺は学生時代、DVを受けていた。

暴力は滅多に無かった(数回あった)んだけど、暴言や束縛等、精神的な面で追い詰められた。

付き合ってすぐ、束縛は始まった。惚れた弱みもあって、俺はその束縛に出来る限り従った。 

だって、少しでも不満を漏らしたり実行できないと「別れる」って言うから・・・

その度に、必死に謝ってご機嫌取り。実に情けない。

エスカレートする束縛
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彼女は甘っちょろい俺を舐めてかかるようになり、束縛はエスカレートしていく。

毎日のように会うことを要求され、会えない時もLINEや電話で常に繋がっている事を要求され、俺のプライベートな時間は全て彼女に割かれる事となる。

彼女は当時、俺より圧倒的に暇な学生生活だった事もあり、LINEや電話の量・長さも尋常ではなかった。

毎晩必ず電話を繋ぎっぱなしで寝る。彼女が寝る前に寝ようもんなら激怒される。

LINEも既読をつけたらすぐに返信しなければならない。当然のようにアドレス帳から女は全削除。男友達と遊ぶ事もロクに許されない。

どうしても電話を切らなければならない状況になると「別れる」と脅される。その度に必死こいて謝って許してもらう。

暴言

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それに加え、暴言の数々。
「馬鹿」「クソヤロー」らへんの罵倒はまだいい方。

なんでも、元カレが東大卒のエリート商社マンかつ性格も抜群に良かったらしく、さんざん比較されては馬鹿にされたね。

「文系で私大とか・・・」

「元カレの1年目の年収に何年で届くの?」

「元カレは努力を怠らずエリートだった。なのにあなたは・・・」

「元カレは将来性が感じれた。あなたは・・・」

「元カレを知ってる私からすると、あなたから知性を感じない」

「元カレはいつも私を大事にしてくれたのに・・・」

「元カレは器が大きかった。アナタは子供用お茶碗」

「あなたみたいなのと付き合ってあげてる事に感謝してね」

「あなたのビラ、キャンパスや駅でばら撒くよ?」

「一切気を遣わず楽で居れる事が良いのに、なんであなたに気遣いしなきゃいけないの?」

などなど・・・思い出しながら書くだけで怒りがこみ上げてくる。
ちなみに、彼女は俺より学歴低い…

精神的に追い詰められる

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なんで、ここまでコケにされて怒らないのかと思うだろう。

俺も思う。でも当時は、凄まじい束縛もあったせいで共依存状態だったんだ。

怒りの感情はあったが、それを出したら別れると脅される。

別れたくない、一緒に居たい。

常に繋がる事を求められ、繋がってる間は暴言を浴びせられる。

次の日の予定がなんだろうと、睡眠時間は削られまくる。

会ってる時も会って無い時も、家でも外でも一分一秒心の休まる暇は無い。

それでも別れたくないから屈する。そしてまた増長し・・・

俺はどんどん追い詰められて行った。

俺を救ってくれた親友の言葉
 
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俺は、ある日彼女に嘘をついて親友と飲みに行った。

彼女の束縛のせいで親友の誘いも断る回数が激増してたけど、もう限界で救いを求めてたのかもしれない。

男の癖に彼女にDVを受けているなんて情けなくてなかなか切り出せなかったけど、酔いもあって一度切り出したら言葉が止まらなかった。全てを聞いてもらった。

そして、ひと通り吐き出し、それまで相槌程度に聞いてくれていた親友の口から出た一言が・・・

「お前、そいつと付き合ってて楽しいか?」

至極当然の言葉だ。こんな話を聞いた後なら、ありふれた言葉だ。

でも、当時の俺には真っ直ぐ突き刺さった。

毎日が辛かった。苦しかった。楽しい事なんて殆ど無かった。

会ってる時も話してる時もハラハラしてた。携帯が鳴ると気が滅入った。彼女の事情で連絡が途切れる時間が安らぎだった。

本気でどうかしてた。俺、おかしくなってた。

付き合ってて楽しくなきゃ意味が無い。二人で辛い事を乗り越えるのが愛だ。

彼女=辛い事なんて有り得ないだろ・・・

ようやく目が覚めた。もう腹は決まった。
 
目には目を、歯には歯を、DVには・・・
 
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別れを切り出した時、当然のように彼女は激怒した。

だけど、今まで脅しとなっていた「別れ」を今は俺が切り出しているのだ。何も怖くない。

目の前で激怒し暴言を連発する彼女が、凄く滑稽に見えた。

今まで失った時間、浴びた暴言、肉体的疲労、精神的苦痛・・・その全ての原因は、目の前のコイツだ。

にも関わらず、反省するどころか逆ギレ・・・

今まで我慢してた怒りの感情が、一気にこみ上げてきた。身体が芯から熱くなるのを感じた。

周りに人が居ないとは言え一応公共の場だった。

けど、そんな事お構い無しで殴りたかった。思い切り殴り飛ばしたかった。

でも、この状況で殴ったら俺は殺してしまうまで殴り続けてしまうと思った。

だから、言葉の暴力でやり返した。今までの苦しかった時間を払拭するかのように、一気に畳み掛けた。

「お前のせいで精神的に辛い毎日だった」

「お前と過ごした時間は殆ど苦痛で無駄だった」

「元カレと比較され屈辱的な言葉を浴びせ続けられたが、お前はそのダメな俺以下」

「黙って聞いてやってたがお前の話は心底つまらなかった」

「お前は自己中心的で他人を一切思いやれないクソ人間」

「俺にとって存在が害」

別れ

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他人を目の前で、あそこまで罵ったのは初めてだった。

これを、DVと言うならDVでも良い。あそこまでコケにされて綺麗にサヨナラなんてできなかった。

あまりの俺の豹変ぶりに驚いたのか、よっぽど言葉が刺さったのか知らないが、まぁデカイ声で泣いてたね。

「わあああああああああああああああああああああ」って泣き叫んでた。

もう今後一切俺に関わるなよと捨て台詞を吐いて放置して帰った。

追いかけて腕を掴んできたけど、本気で振り払って一切無視で帰った。

携帯も速攻で着信拒否した。公衆電話からかかってきてたが、一切無視してその足で飲みに行った。

もう俺は自由だ。誰にも邪魔されることの無い、楽しい毎日が戻ってくるんだ。
そう思うと、実に清々しい気分だった。

その後

楽しい毎日を取り戻した俺を邪魔するかのように、彼女は俺の前に現れた。

今までの事を謝り、本当に反省したからまた向き合って欲しいと頼み込んできた。

だけど、突っぱねた。どれだけ誠意を見せられても絶対に許せなかった。

しつこく食い下がり自殺まで仄めかすので「親、学校、警察に電話するよ」と脅したら、ようやく帰った。

それで諦めがついたのか、その後は一切姿を見せなかった。

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ただ人間って厄介なもんで・・・

数少ない、彼女との楽しかった思い出や笑顔が今でもたまに浮かんでくるんだよね。

別れ際の泣き叫ぶ声や悲痛な表情も、俺を苦しめる。

もちろん、数々の暴言もしっかり思い出されるから嫌いなのは一切変わらないんだけどね。

似たような境遇の人へ

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一人で思い詰める事だけはせず、誰かに相談してみて欲しい。

そして、この問いに対する答えをしっかり考えて欲しい。

「お前、そいつと付き合ってて楽しいか?」

暴力や暴言や日常生活に支障が出るほどの束縛を苦痛に感じているのなら、すぐ別れた方がいい。

逃げたほうがいい。全力で逃げろ。自分の力でどうにもできないなら誰かの力を借りてくれ。

「楽しいこともある、良い所もある」なんて当然の事。どんな犯罪者にも良い所はある。

「付き合ってて楽しい」と「DV」は絶対に共存しない。

肉体的に、精神的に、もしくはその両方であなたを意図的に傷つける人間は敵だ。絶対に関わるな。

あなたにはあなたの人生がある。自由に生きる権利がある。幸せになる権利がある。

 
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